航空部とは

グライダーの飛ばし方

曳航と着陸を上から眺めたところグライダーはエンジンを持たないため、自力の離陸は不可能です。 飛ばし方には主にウインチ曳航と航空機曳航があります。東大航空部ではふだんウインチ曳航を行っています。 まず、離陸の準備から。機体をピスト(管制)横にセットします。 操縦系統点検・計器点検の後、搭乗者の搭乗が完了すると、機体と曳航索をつなぎます。 これでいつでも離陸可能です。機長がOKサインを出すと「翼端」の人は主翼の端っこを持ち上げ、機体を水平にします。 グライダーのギア(車輪)は自転車みたいな縦配置になっているのでどちらかの主翼が必ず地面に付いてしまいます。 だから「翼端」といって片方の主翼の端っこを持つ人が移動や離陸の際には必要です。 機体が水平になったら準備よしです。 ウインチ曳航の場合、ピストがウインチに準備が完了したことを無線で伝え離陸開始です。

翼端を持つ人
↑準備よし!!
ピスト
↑ピスト

ウインチ曳航はウインチと機体を約1kmほどの曳航索(金属のワイヤー)で結び、その曳航索をウインチが高速で巻き上げることによって、 凧揚げの要領で高度400〜500mまで引き上げられます。 一気に加速するので地上滑走距離はわずか10mほどです。 思ったよりも急上昇なので慣れるまでは少しこわいかもしれませんが、ほとんどの人は数回飛ぶうちに慣れるので大丈夫です。

4連ウィンチ
↑4連ウインチ
ウィンチ曳航
↑ウインチ曳航中

航空機曳航というのは曳航機と呼ばれるプロペラ機とグライダーを数十mの曳航索(ロープ)でつなぎ、 曳航機が十分な高度まで引っ張り上げるというものです。 ウインチ曳航と違って緩やかに上昇していきます。航空機曳航のメリットとして、ウインチ曳航よりも高くまで上げてもらえる、サーマル(上昇気流)の中まで引っ張ってもらえるなどがありますが、費用が高いのが欠点です。

航空機曳航
↑航空機曳航(前が曳航機)

着陸する際には決められたチェックポイントを通過し、ピスト(管制)に無線を入れます。 無線を入れるとピストから着陸するR/W(=滑走路、ランウェイと読む)の指示が出ます。 R/Wの指示を受けたパイロットはベースターン、ファイナルターンを行ってR/Wを正面に見て、 ファイナルアプローチに入ります。自分が着陸するR/Wに軸線を合わせながら徐々に高度を落としていきます。 ジェット機のように機首の上げ下げで速度の調整、スロットルで高度の調整・・・といきたいところですが、 グライダーにはエンジンがありません。 ですから飛んでいる間は常に機首の上げ下げによって速度を調整します。 高度の方はといいますと、ダイブブレーキと呼ばれるもので調整します。 調整といっても高度を下げるしか選択肢はありませんが・・・。 ダイブブレーキは普段主翼の内部に納められていて、高度を落とす際には内側から板のようなものが出てきて、 その空気抵抗によって高度を落とします。 R/Wすれすれの高さまで高度を落とすと、機首をゆっくりと上へ向けてフレア(引き起こし)というものをかけます。 ジェット機も着陸する際は少し上を向いてますよね。フレアをかけることによってメインギア(主輪)から滑らかに着陸できます。 タッチダウン(接地)した後はメインギアにブレーキをかけます。

グライダーは自走不可なので離陸前、着陸後にタキシングなんて格好いいものは行いません。 数人で機体を押して移動させます。 ただ、風向が変わったときなどにR/Wを長距離移動するときは車でゆっくり牽引します。 もちろん翼端の人は歩きですが・・・。

機体の牽引
↑牽引中